2019/03/07


Google launches TensorFlow Lite 1.0 for mobile and embedded devices | VentureBeat

Google today introduced TensorFlow Lite 1.0 , its framework for developers deploying AI models on mo...

https://venturebeat.com/2019/03/06/google-launches-tensorflow-lite-1-0-for-mobile-and-embeddable-devices/

TensorFlow Lite 1.0 がリリースされた、このめでたい日に TensorFlow にプレゼントを送ろうと思って作りました。

TensorFlow Lite を Go 言語から扱えるパッケージです。なるべく C の API に忠実に実装したので Go 言語感がない部分もあるかもしれませんが、それはこれからです。

GitHub - mattn/go-tflite

go-tflite Go binding for TensorFlow Lite Usage See _example/main.go Requirements TensorFlow Lite Ins...

https://github.com/mattn/go-tflite

使い方は TensorFlow Lite でプログラミングした事がある方なら分かるはずです。

package main

import (
    "bufio"
    "flag"
    "fmt"
    "image"
    _ "image/png"
    "log"
    "os"
    "sort"

    "github.com/mattn/go-tflite"
    "github.com/nfnt/resize"
)

func loadLabels(filename string) ([]stringerror) {
    labels := []string{}
    f, err := os.Open("labels.txt")
    if err != nil {
        return nil, err
    }
    defer f.Close()
    scanner := bufio.NewScanner(f)
    for scanner.Scan() {
        labels = append(labels, scanner.Text())
    }
    return labels, nil
}

func main() {
    var model_path, label_path, image_path string
    flag.StringVar(&model_path, "model""mobilenet_quant_v1_224.tflite""path to model file")
    flag.StringVar(&label_path, "label""labels.txt""path to label file")
    flag.StringVar(&image_path, "image""grace_hopper.png""path to image file")
    flag.Parse()

    f, err := os.Open(image_path)
    if err != nil {
        log.Fatal(err)
    }
    defer f.Close()

    img, _, err := image.Decode(f)
    if err != nil {
        log.Fatal(err)
    }

    labels, err := loadLabels(label_path)
    if err != nil {
        log.Fatal(err)
    }

    model := tflite.NewModelFromFile(model_path)
    if model == nil {
        log.Fatal("cannot load model")
    }
    defer model.Delete()

    options := tflite.NewInterpreterOptions()
    options.SetNumThread(4)

    interpreter := tflite.NewInterpreter(model, options)
    if interpreter == nil {
        log.Fatal("cannot create interpreter")
    }
    defer interpreter.Delete()

    status := interpreter.AllocateTensors()
    if status != tflite.OK {
        log.Fatal("allocate failed")
    }

    input := interpreter.GetInputTensor(0)
    wanted_height := input.Dim(1)
    wanted_width := input.Dim(2)
    wanted_channels := input.Dim(3)
    wanted_type := input.Type()
    fmt.Println(wanted_height, wanted_width, wanted_channels, wanted_type)

    resized := resize.Resize(uint(wanted_width), uint(wanted_height), img, resize.NearestNeighbor)
    bounds := resized.Bounds()
    dx, dy := bounds.Dx(), bounds.Dy()

    if wanted_type == tflite.UInt8 {
        bb := make([]byte, dx*dy*wanted_channels)
        for y := 0; y < dy; y++ {
            for x := 0; x < dx; x++ {
                col := resized.At(x, y)
                r, g, b, _ := col.RGBA()
                bb[(y*dx+x)*3+0= byte(float64(r) / 255.0)
                bb[(y*dx+x)*3+1= byte(float64(g) / 255.0)
                bb[(y*dx+x)*3+2= byte(float64(b) / 255.0)
            }
        }
        input.CopyFromBuffer(bb)
    } else {
        log.Fatal("is not wanted type")
    }

    status = interpreter.Invoke()
    if status != tflite.OK {
        log.Fatal("invoke failed")
    }

    output := interpreter.GetOutputTensor(0)
    output_size := output.Dim(output.NumDims() - 1)
    b := make([]byte, output_size)
    type result struct {
        score float64
        index int
    }
    status = output.CopyToBuffer(b)
    if status != tflite.OK {
        log.Fatal("output failed")
    }
    results := []result{}
    for i := 0; i < output_size; i++ {
        score := float64(b[i]) / 255.0
        if score < 0.2 {
            continue
        }
        results = append(results, result{score: score, index: i})
    }
    sort.Slice(results, func(i, j intbool {
        return results[i].score > results[j].score
    })
    for i := 0; i < len(results); i++ {
        fmt.Printf("%02d%s%f\n", results[i].index, labels[results[i].index], results[i].score)
        if i > 5 {
            break
        }
    }
}

label_image でおなじみの grace_hopper も正しく動きます。

grace_hopper

一応、TensorFlow Lite の C API は全て移植したつもりですが、何かバグっていたら教えて下さい。

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2019/02/05


現在は設定ファイルを読み込む仕様に変更しました。詳細はリポジトリの README.md を参照下さい。

Language Server はとても便利なので最近ではコーディングの時は常に Language Server を有効にしているけど、全く要望が無い訳ではないです。

  • 好みの Lint でコードをチェックしたい
  • 特定言語の Language Server が無い
  • そもそも編集中のファイルがソースコードではない

例えば Vim script には現状、Language Server がありません。これは言語の特性上、パースし辛らかったり、型情報が全くないので補完候補を作り出せない等の理由もあります。でも補完よりもまず Language Server の Diagnostic が欲しいと思う訳です。

そこで、どんな言語であろうとも Lint ツールが grep と同様の形式で結果を出力してくれさえすれば Language Server にしてしまうコマンド efm-langserver を作りました。

GitHub - mattn/efm-langserver

efm-langserver General purpose Language Server that can use specified error message format generated...

https://github.com/mattn/efm-langserver

以下でインストール出来ます。

go get github.com/mattn/efm-langserver/cmd/efm-langserver

仕組みは haya14busa さんが reviewdog の Vim script 対応の際に Vim のオプション、errorformat をパースするライブラリ errorformat を作っておられたので、各 Lint コマンドが出力する行番号、列番号、メッセージをパース、その情報を Language Server Protocol でテキストエディタに教えてあげようという物です。なので

grep 形式の出力をする Lint ツールであれば Language Server になれてしまう訳です。

設定には若干、シェルスクリプト等の知識が必要になります。例えば ERB のファイルを編集するのであれば以下のコマンドでシンタックスチェックを行い grep 形式で出力出来ます。

$ cat foo.erb | erb -x -T - | ruby -c

ですので vim-lsp (Vim の Language Server Client) から使うには以下の様に設定します。(offsetを1にしているのはshebangを除ける為です)

augroup LspERB
  au!
  autocmd User lsp_setup call lsp#register_server({
      \ 'name''efm-langserver-erb',
      \ 'cmd'{server_info->['efm-langserver''-offset=1''-stdin', &shell, &shellcmdflag, 'erb -x -T - | ruby -c']},
      \ 'whitelist': ['eruby'],
      \ })
augroup END

動かすとこんな感じになります。

erb

また Vim script には vint という Lint ツールがあるので vim-lsp の設定は以下になります。

augroup LspVim
  au!
  autocmd User lsp_setup call lsp#register_server({
      \ 'name''efm-langserver-vim',
      \ 'cmd'{server_info->['efm-langserver''-stdin', &shell, &shellcmdflag, 'vint -']},
      \ 'whitelist': ['vim'],
      \ })
augroup END

エラーの出力形式が grep と少し違う場合には -efm というオプションで調整出来ます。詳しくは errorformat のページを参照して下さい。また Lint ツールが標準入力を読み込んでくれる場合は上記の様に -stdin オプションを付けますが、例えば make コマンドの様に標準入力を読んでくれないコマンドを使う場合はこのオプションを外して下さい。

Go言語による並行処理 Go言語による並行処理
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2018/12/17


はじめに

まず始めに言っておかなければなりません。

gocode 今まで本当にありがとう

この記事は、Go 言語歴10年になる僕がこれまで愛用してきた Go 言語のコード補完ソフトウェア gocode の歴史と功績、そして今、gocode 自らがその役割を終えようとしている姿をぜひ皆さんに知って頂きたいという思いから Go Advent Calendar 2018 の記事として起こしました。この記事では gocode が歩んできた歴史と苦悩を少しでも皆さんに分かる様に解説させて頂きつつ、そして次にやってくる Go 言語のコード補完の未来についてご紹介したいと思います。Vim について多めに書かれていますが、Visual Studio Code での Go 開発にも影響する話です。

gocode とは

gocode は nsf 氏が開発した Go 言語のコード補完サーバです。

GitHub - nsf/gocode: An autocompletion daemon for the Go programming language

An autocompletion daemon for the Go programming language VERY IMPORTANT: this project is not maintai...

https://github.com/nsf/gocode

GitHub スターの数を見て貰えると分かる通り、gocode は多くのユーザに使われてきました。Go 言語はコンパイル型言語にも拘わらずスクリプト言語並みのコンパイルの速さでユーザを魅了してきたのですが、多くのユーザが gocode により助けられ開発速度を保てていたという事実はもはや説明するまでもありません。Visual Studio Code を使っておられる方であれば、その . をタイプして Go のコード補完候補を出していたのは gocode なのです。(最近は go-langserver が使われていますが、あれも最近まで中身が gocode でした)

gocode は開発初期こそ Vim と Emacs のみをサポートして来ましたが、最終的にはあらゆるテキストエディタや IDE で使われました。

  • Vim/NeoVim (vim-go)
  • Emacs (go-autocomplete.el)
  • goclipse
  • SublimeText 2 (GoSublime)
  • godev
  • godit
  • Wide
  • Visual Studio Code (vscode-go)

僕と gocode

gocode は僕の Go 言語プログラミングの右腕でした。趣味でも仕事でも常に使ってきました。一部の方であればご存じかもしれませんが、僕は Vim というテキストエディタを愛用しています。10年前となるともちろん Go 言語のコード補完はどの環境向けにも作られておらず、Go 言語のユーザ達は全てのコードを自分でタイプしていました。僕もその一人でしたし、それが普通だと思っていました。

2010年7月に gocode が誕生し、Go 言語ユーザから知られる様になって来た頃に僕もその存在に気付きました。はじめて Go 言語のコード補完を見た時には小躍りしそうなほど興奮したのを覚えています。Go のユーザが増えると共に gocode も人気となり開発もさかんになりました。僕も gocode には幾つかコントリビュートさせて貰いました。

そして gocode の本体に含まれていた Vim プラグインが vim-go に移り、今や Vim を使う Go ユーザの多くが vim-go ユーザでもあります。僕も今では vim-go が無いと Go が開発出来ないという程に vim-go のヘビーユーザです。そんな事もあり僕は Go の環境をセットアップする時はいつもまず gocode をインストールして来ました。

今思えば僕が Go のコードをこれほどまで量産してこれたのも、gocode が助けてくれていたからかも知れません。

gocode の仕組み

gocode はコード補完サーバ兼クライアントです。テキストエディタは Go のソースコードを開くと同時にその拡張やプラグインがバックグラウンドで gocode を起動します。そしてコード補完を行うタイミングで編集中のソースコードがテンポラリファイルに一旦書き込まれ、gocode のクライアントを経由してサーバに対してリクエストが送り込まれます。gocode サーバはソースを解析し、補完の候補を作ると各テキストエディタ向けのフォーマットで応答を返します。例えば Vim であれば Vim script のリスト形式を返しました。Emacs であればS式を返しました。その後、ユーザ数の拡大に合わせ各種フォーマットに対応しました。

  • vim
  • emacs
  • nice
  • csv
  • csv-with-package
  • json
  • godit

一見、json だけあれば十分ですし無駄な努力であった様にも見えますが Vim がまだ JSON を扱う事が出来なかった頃の話なので、これはあって当然の実装だったのです。

gocode が取り組んだ事

さまざまなテキストエディタや IDE から使われ、gocode は Go でのコード補完機能のデファクトスタンダードとしてのポジションに君臨して来ました。

gocode は Go 本体のコードの一部をベースとして作られており、ソースの一部からも取り込み当初の Go のコードが残る物になっています。元々は gocode も Go のソースをパースしソースコードから補完候補を作る仕組みでした。Go のユーザ数が増え、開発される規模も大きくなり、状況も変わってきました。そこで nsf 氏はバイナリをサポートし始めます。Go は go install するとパッケージをバイナリとして保持します。そして gocode はそのバイナリをパースしコード補完を高速化する事に成功しました。この時のコード補完の速度はとても速く素晴らしい物でした。そしてそれを gocode 標準の機能としたのです。

この方法には大きなメリットがありました。それは GOPATH 上にないソースコードでも補完が行えるのです。書き捨てのコードを GOPATH 外で編集していてもコード補完が効くのでとても便利でした。

しかしながら全ての Go ユーザが常に最新の Go を使っている訳ではありません。2018年12月現在 Go の最新バージョンは 1.11 ですが、未だ Go 1.8 を使っているユーザもいます。

gocode はその全てのバージョンのユーザをサポートしようとしました。Go コンパイラが出力するバイナリにはバイナリのバージョン番号が含まれるのですが、gocode のソースコードにはそのバージョンに対応するコードが散りばめられています。

gocode/package_bin.go at f1f547fc1cd78d02c3343f6acca144b79d411f02 - nsf/gocode - GitHub

v.20170907 v.20150303 go.weekly.2012-03-13 go.weekly.2012-03-04 go.weekly.2012-02-22 go.weekly.2012-...

https://github.com/nsf/gocode/blob/f1f547fc1cd78d02c3343f6acca144b79d411f02/package_bin.go#L167-L174

gocode の苦悩

しかしながら多くのバージョンに対応するという事は色々な問題を抱える事にもなります。複数のバイナリをサポートするという事だけでも大変な作業なのです。さらに Go コンパイラが新しいバイナリを生成する様になると、gocode は途端にクラッシュしてしまいます。僕の様に常に最新の Go を使っているユーザだと、Go コンパイラが新しいバイナリのバージョンをサポートし始めると gocode がそのバージョンをサポートするまではコード補完が使えない状態となるのです。

そして gocode の issues は常にこういったユーザからの「動かない」という報告で溢れていました。

gocode の限界

この様な苦悩はありながらも今後も gocode がコード補完の標準であり続けるであろうと思っていた中、それは突然やってきました。Go 1.10 のビルドキャッシュです。

Go 1.10 Release Notes - The Go Programming Language

Introduction to Go 1.10 The latest Go release, version 1.10, arrives six months after Go 1.9 . Most ...

https://tip.golang.org/doc/go1.10#build

Go 1.10 に追加されたビルドキャッシュは、Go コンパイラがビルドした結果をキャッシュし保持する仕組みです。そのキャッシュは Go の pkg ディレクトリにはインストールされません。Go のコードを一旦コンパイルし、バイナリ解析してコード補完を行っていた gocode は、そのキャッシュの場所を把握出来ません。そして pkg ディレクトリとキャッシュとの間で起きるコードの差異により、正しいコード補完結果を作る事が出来なくなりました。

Go1.10 and the pkg cache - Issue #500 - nsf/gocode - GitHub

The go build command now maintains a cache of recently built packages, separate from the installed p...

https://github.com/nsf/gocode/issues/500

一方その頃、Visual Studio Code は Language Server をサポートし始めました。Language Server は言語に依存しないコード解析仕様で、コード補完や定義位置ジャンプ等を提供します。各 Language Server は Language Server Protocol (LSP) に従って各言語版の実装する事で、Language Server Client からは透過的に各言語を扱えるという物です。これにより、一旦テキストエディタが Language Server Client を実装さえしてしまえばそれ以降は各言語が Language Server を実装すればテキストエディタは無改造(もしくは少量の変更のみ)で対応する事が出来るのです。Go 言語にもその実装 go-langserver が誕生しました。

ただし残念な事にその頃の go-langserver の内部実装は gocode を使う物でした。ビルドキャッシュの問題が go-langserver にものしかかります。

gocode の fork

nsf 氏はこのビルドキャッシュの件でモチベーションを無くしてしまい、gocode の開発は停止してしまいました。nsf 氏によると、キャッシュをサポートした事で、これまでバイナリをサポートしてきた gocode は意味を成さなくなったのです。その時の nsf 氏はこの様に言っています。

Yes, it sucks. With gocode you have to use "go install" anyway and that package cache feature is useless to you. Sadly there are no plans on my side to workaround it. I talked a bit about it a few times. A proper autocompletion service should use source files instead of package files. Somebody should make one. My enthusiasm for gocode is long gone.

I would suggest looking for alternatives. However I'm unaware of their state. I know there were few attempts of making "language server protocol" servers for Go. Have no idea how good they are. Sadly proper autocompletion tool of a kind should reimplement all language semantic analysis, because working with code that is being actively edited is a slightly different task that doing compilation or static analysis. I think I know how to make a proper service here, but... There's always but.. Maybe one day.

これはまずいですね。gocode ではとにかく "go install" を使わなければならないし、パッケージキャッシュ機能は君(上記 issue の発言主で go-langserver の開発者)にとっても無用な物になります。残念ながら私にはこれを回避する予定がありません。これについて少し話をしました。適切な自動コード補完サービスはパッケージファイルの代わりにソースファイルを使用する必要があります。誰かが作るはずです。gocode に対する私の熱意は長らく遠ざかってしまいました。

代替案を模索する事をお薦めします。しかし私はそれらの状況を良く知りません。Go 言語向けの "Language Server Protocol" を作ろうとする人がそれほどいなかった事は知っています。それらがどれほど良いか分かりません。賢くて適切な自動コード補完ツールは全ての言語セマンティック解析を再実装する必要があります。アクティブに編集されているコードを扱うというタスクは、コンパイルや静的解析を行う場合とは少し異なる物なのです。私はこの適切なサービスを作る方法を知っていると信じているが...いつの日か...しかしその時は来るのか...。

つまり nsf 氏は自ら gocode の開発に終止符を打ったのです。gocode の開発を続ける事が、本来の姿ではない事をこの時既に分かっていたのです。僕も正直、この issue を見た時は「なんで開発やめちゃうんだよ?まだ続けられるでしょ」と思っていましたが、あとあと読み返すとこの nsf 氏の発言は正しかったと思う様になりました。

その後、Go コンパイラにビルドキャッシュ機能を入れた本人でもある Matthew Dempsky 氏が(お詫びと言わんばかりに) gocode を fork し、現状のバイナリをパースしているコードを全て削除した上で、全てをソースコードから解析する変更を加えました。もちろんこれは nsf 氏が望む物ではありませんでしたが補完が効かなくなって悩んでいた僕を含む Go 言語ユーザの唯一の助けとなりました。しかし全てをソースコードから解析するのはとてもナンセンスでした。編集中のソースコードから import されるパッケージのソースを見つけ出したとしても、そこから import される新たなパッケージも見付かる訳ですから、これをテキストエディタのコード補完のトリガと同時に行っていたら遅くなってしまうのは誰でも分かる事でした。

GitHub - mdempsky/gocode: An autocompletion daemon for the Go programming language

github.com/mdempsky/gocode This version of gocode is a fork of the original , which is no longer sup...

https://github.com/mdempsky/gocode

さらにその後、Matthew Dempsky(mdempsky) 氏の fork 版をさらに fork する形で、gocode にビルドキャッシュと Go Module をサポートする修正を追加した Rebecca Stambler(stamblerre) 氏版も登場しました。これは最新の Go の安定版を使っている方であれば幾分使える物になっているはずです。

GitHub - stamblerre/gocode: An autocompletion daemon for the Go programming language

github.com/stamblerre/gocode This version of gocode works with Go Modules. An autocompletion daemon ...

https://github.com/stamblerre/gocode

gocode の終わり

gocode が fork され、fork の存在を知らない一部の Go ユーザから「nsf/gocode が使えなくなった」との報告が出始めました。fork の存在を知っているユーザからは「org で1か所で開発すべきでは」と言った意見も出てきました。同じころ Visual Studio Code の Go 拡張は Language Server への移行を行っていましたが go-langserver も内部では gocode を使っているのですから、Visual Studio Code でも動くはずがありません。Go のコード補完にどんよりとした空気が漂っていました。

golsp の誕生

これはまずいなと思っていた頃、Go 開発者チームが Go のサブリポジトリである golang.org/x で LSP をサポートする動きを見せ始めました。2018年9月の話ですから今から3ヶ月前の話です。

始めはインタフェースのみ実装されており中身はスッカラカン状態でしたが、次第にコミットを重ねて2018年12月現在ではコード補完が行える様になりました。現在 golang.org/x にある golsp の実装は Rebecca Stambler 氏(上記 gocode の fork 版 stamblerre/gocode の人)が担当しています。先日僕もこの golsp に pull-request を送り、現在 golsp は Windows でもちゃんと動作する様になっています。

つまり Language Server Client が実装されているテキストエディタであれば、go-langserver の代わりに golsp を使う事で正常なコード補完が使える様になるのです。とても喜ばしい事です。そして幸運な事に、僕が愛用する Vim には Language Server Protocol を実装したプラグイン、vim-lsp があり、これは実行する LSP コマンドを簡単に差し替えられる様になっています。

GitHub - prabirshrestha/vim-lsp: async language server protocol plugin for vim and neovim

While most of the time it is ok to just set the name , cmd and whitelist there are times when you ne...

https://github.com/prabirshrestha/vim-lsp

vim-lsp のインストールは以下の通り。

Plug 'prabirshrestha/async.vim'
Plug 'prabirshrestha/vim-lsp'

また vim-lsp に golsp を設定する方法は以下の通り。

if executable('golsp')
  augroup LspGo
    au!
    autocmd User lsp_setup call lsp#register_server({
        \ 'name''go-lang',
        \ 'cmd'{server_info->['golsp''-mode''stdio']},
        \ 'whitelist': ['go'],
        \ })
    autocmd FileType go setlocal omnifunc=lsp#complete
  augroup END
endif

さらに vim-lsp は非同期にコード補完を行う事も出来ます。非同期の場合は以下の様にインストールします。

Plug 'prabirshrestha/async.vim'
Plug 'prabirshrestha/vim-lsp'
Plug 'prabirshrestha/asyncomplete.vim'
Plug 'prabirshrestha/asyncomplete-lsp.vim'
Plug 'natebosch/vim-lsc'
let g:lsp_async_completion = 1

Vim の Language Server Protocol サポートは先月開催された VimConf 2018 でも話題になり、皆さんから頂いたアンケートの結果でも LSP のサポートを望んでいるユーザが多い事が分かっています。

実は先日、vim-lsp の作者からこんなメールを貰いました。

vim-lsp への貢献に感謝します。他のvimプラグインだけでなく、Vimコミュニティ全体でのあなたの働きかけが素晴らしい物である事をこれまでずっと見てきました。vim-lsp の中心的なコントリビュータの1人になる事に興味がありますか?

もちろん即答でOKを出し、先日 vim-lsp のコントリビュータにして頂きました。LSP は Go 言語に限った機能ではありません。今後 Vim の Language Server Protocol サポートを vim-lsp のコントリビュータとしてサポートして行きたいです。

さて、golsp ももちろん Vim の為だけの機能ではありません。Visual Studio Code も golsp の恩恵を受ける事が出来ます。Visual Studio Code の場合は標準で go-langserver を使う様になっているのですが、go-langserver の代替ソフトウェアを設定できる方法があります。

"go.alternateTools": {
   "go-langserver": "golsp"
},
"go.useLanguageServer": true

こうする事で go-langserver の代わりに golsp が使われます。筆者の手元でも問題なく Go のコード補完が出来ている事が確認出来ています。

bingo の誕生

さらに嬉しい事に、別の Go Language Server も登場しました。Language Server Protocol の機能の実装内容では golsp よりも多い様です。Vim および Visual Studio Code での設定内容は上記 golsp を bingo に変えるだけで OK です。

if executable('golsp')
  augroup LspGo
    au!
    autocmd User lsp_setup call lsp#register_server({
        \ 'name''go-lang',
        \ 'cmd'{server_info->['bingo''-mode''stdio']},
        \ 'whitelist': ['go'],
        \ })
    autocmd FileType go setlocal omnifunc=lsp#complete
  augroup END
endif

Visual Studio Code の場合は以下となります。

"go.alternateTools": {
  "go-langserver": "bingo"
},
"go.languageServerExperimentalFeatures": {
  "format": true,
  "autoComplete": true
},
"go.useLanguageServer": true

実は現在、golsp の担当 Rebecca Stambler 氏が、bingo の作者に「golsp とコラボレーションしよう」と持ち掛けている所です。

collaborating on golsp - Issue #13 - saibing/bingo - GitHub

Hi @saibing ! I'm one of the people currently working on golang.org/x/tools/cmd/golsp . We recently ...

https://github.com/saibing/bingo/issues/13

もしこれが実現すれば、一時はどんよりとしていた Go のコード補完に新たな光が見え始める事になります。とても嬉しい状況ですね。

本家が発展する事が一番望ましい事だと思っています。

Go のコード補完のこれから

golang.org/x は拡張用のリポジトリとは言えど、Go 言語がオフィシャルとして Language Server のサポートをし始めたと言って良いでしょう。今後 Go 自身のパーサに変更が加えられたとしても、Go 言語開発者が golsp も追従させて行くでしょう。とは言え golsp もまだ発展途上です。Language Server の数ある機能の中、以下の機能が未実装です。

  • 監視ファイルの変更イベント
  • シンボル一覧
  • コード補完処理の一部
  • 参照元検索
  • ドキュメントのハイライト
  • コードアクション
  • インタフェースから実装の生成
  • コードレンズ
  • 色のプレゼンテーション
  • リネーム

中には Go 言語には必要ない物もありますが、コード補完の一部は未だ改善の余地があります。Go 言語開発者に任せる事も出来ますが、皆さんからのコントリビューションにより、Go 言語のコード補完がより良くなっていきます。ぜひ golsp にコントリビューションしてみて下さい。vim-lsp も pull-request をお待ちしています。

gocode は開発を停止し、これから他の物が使われていくでしょう。もしかすると nsf 氏が gocode2 として復活させるかもしれないし、また別のコード補完ソフトウェアが誕生するかもしれない。しかしこれまで gocode が多くの Go 言語プログラマに与えてきた大きな貢献に対して、最後にももう一度言いたい。

gocode ありがとう

Go言語による並行処理 Go言語による並行処理
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