2016/04/05


だいぶ時間が掛かった様ですが、ようやく buildmode=c-archive が Windows でも使える様になりました。

cmd/go: -buildmode=c-archive should work on windows · Issue #13494 · golang/go · GitHub

32-bit is also important to me. I'd like to help. I'm seeing those same link errors when I enable it...

https://github.com/golang/go/issues/13494

まだ buildmode=c-shared (いわゆる dll) はビルド出来ないけど、ひとまずC言語から golang のライブラリをリンクして動かせる様になりました。例えばこんな事が出来ます。

package main

import "C"

import (
    "fmt"
    "github.com/mattn/go-haiku"
)

var (
    q = make(chan string)
)

func init() {
    go func() {
        for {
            fmt.Println(<-q)
        }
    }()
}

//export PrintHello
func PrintHello(p *C.char) {
    q <- C.GoString(p)
}

//export IsHaiku
func IsHaiku(p *C.char) C.int {
    var ret C.int
    if haiku.Match(C.GoString(p), []int{575}) {
        ret = 1
    }
    return ret
}

//export PrintLine
func PrintLine(p *C.char) {
    fmt.Println(C.GoString(p))
}

func main() {
}

この様なソースコード lib.go を用意し以下の手順で lib.a を作ります。

go build -buildmode=c-archive lib.go

そしてC言語からは以下の様に呼び出します。

#include <stdio.h>

int
main(int argc, char* argv[]) {
  extern void PrintHello(char*);
  PrintHello("hello");
  PrintHello("hello");
  PrintHello("hello");
  PrintHello("hello");
  PrintHello("hello");
  Sleep(3000);
  return 0;
}

ビルドは以下の様になります。

gcc -o example.exe example.c lib.a -lws2_32 -lntdll

goroutine と channel を使っているので PrintHello の呼び出しは非同期に画面出力されます。golang では簡単に扱えるけどC言語だと若干手間だなと思える様な処理もリンクするだけで使える様になります。以下は ikawaha さんの kagome を使って俳句を扱えるライブラリ go-haiku をC言語から呼び出しています。

#include <stdio.h>

int
main(int argc, char* argv[]) {
  extern void PrintLine(char*);
  extern int IsHaiku(char*);

  char* s = "古池や蛙飛び込む水の音";

  PrintLine(s);
  if (IsHaiku(s)) {
    PrintLine("それ575じゃん");
  }
  return 0;
}
古池や蛙飛び込む水の音
それ575じゃん

めちゃめちゃ簡単ですね。

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2016/03/29


go-github という、Google が開発している GitHub API ライブラリがあるのですが、今回 filosottile さんがたった4行のコードで実行速度を4倍にするという pull-request を書きました。

いったいどういう事かというと、golang の json.Decoder を使って http.Response.Body から JSON を読み取ると最後の改行(EOF)が読み込まれずに残ってしまい、レスポンスを完全に読み切らないまま http.Response.Body.Close() が呼ばれてしまう。これはこれで別に問題のあるコードではないのですが、継続してリクエストを送る場合にレスポンスを完全に読み切っていなかった事でクライアントは物理切断してしまい TLS 接続が再利用されなくなります。この TLS 接続を再利用する為には残りのたった1バイトを読み捨ててあげる必要がある。そこで

defer func() {
    // Drain and close the body to let the Transport reuse the connection
    io.Copy(ioutil.Discard, resp.Body)
    resp.Body.Close()
}()

というコードになったという事です。個人的にはこれは golang 本体がやるべき仕事な気もするのでオススメはしませんし、今後 golang に何かしらの対応が入るのかもしれませんが、今すぐ高速な HTTP 通信が必要という方は試してみるのも良いかもしれません。

ちなみにこの件、Content-Length 分読み取って json.Unmarshal していれば発生しないはずですが json.Decoder のメモリを極力使わないというメリットが使えなくなるというのもあり一長一短ですね。

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2016/03/28


ちょっとした昔話を一つ。

vimで方向キーがABCDを入力してしまう問題の解決 - Qiita

ubuntuでちょっとした設定ファイルを書き換える際にはvimを使っているのだけれど,方向キーでのカーソル入力が何か拍子にABCDと入力になってしまうことが度々あり不便なので原因を調べてみた。 ***...

http://qiita.com/blue_camel/items/e2bd59a3b33acd5edfd0
Vimで方向キー入力時にABCDが記述されるエラー対処 | vdeep

カーソル移動が「h,j,k,l」だとわかっていても、つい押してしまう「方向キー」。するとABCDと訳のわからない入力が。。

http://vdeep.net/vim-abcd

もう少し詳細を知っておくと、もし同じ様な現象に遭遇した時に解決が早くなるかもしれませんね。まずなぜ ABCD が挿入されてしまうのか。端末 vt100 ではカーソルの移動(↑↓←→)はそれぞれ以下のコントロールコードが割り当てられています。

キー コントロールコード
^[[A または ^[OA
^[[B または ^[OB
^[[C または ^[OC
^[[D または ^[OD

ここでの ^[\x1B つまりエスケープです。近代的な端末はこれらを解釈し、画面上の描画位置を期待した通りに移動してくれます。また近代的なプログラムであればこれらのキーシーケンスは一度に解釈されて正しくカーソルキーと判別されます。しかし大昔に作られた vi はこれらの先頭に付いている ESC に反応してインサートモードを抜ける動作になっていました。この結果、↑キーであれば ESC が押されてノーマルモードに戻り O が押されて1行上でインサートモードが開始され、A が押されて挿入される、という動作が行われます。

vi もその後進化し termcap というライブラリを使う様になりました。上記のキーシーケンスは一度に解釈されて正しくカーソルキーと判別される様になりました。しかし vi は互換性を重視するテキストエディタです。デフォルトでは互換モードで動作する為、きちんとこの動作を行う様になっています。オプション nocompatible を設定するだけで現象が直るのはこの為です。ちなみにまだこれらの端末技術が進んでいなかった頃(といってもそれほそお爺さんではありませんが)、僕たちは以下の様なワークアラウンドでカーソルキーを疑似していました。

:map! ^[OA ^[ka
:map! ^[OB ^[ja
:map! ^[OC ^[la
:map! ^[OD ^[ha

^[CTRL-VCTRL-[ で入力します。

カーソルキーが送られてきたら vi の map ですぐさま ESC を判別せずに ESC でノーマルモードに戻り、hjkl で移動し、a で再度インサートモードに戻っていたのです。もちろんこれを設定すると単独で ESC をタイプした時にタイムアウトが発生するまでキーが解釈されないので反応が悪くなります。

そして次第にこういったワークアラウンドは使わず hjkl で移動する様になりました。良くも悪くもカーソルキーを使わず操作する為のギプスだったのですね。

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