はじめに
2016年にこんな記事を書きました。
Big Sky :: Windows ユーザは cmd.exe で生きるべき。
[D] Windowsはターミナルがダメだから使えないってのは過去の話? 基本的にはいい感じに見えますが、いくつか問題は発覚してます。 http://blog.drikin.com/2015/01/w...
https://mattn.kaoriya.net/software/why-i-use-cmd-on-windows.htm
この記事は日常からコマンドプロンプトを使うユーザに Windows で生き抜く為の僕なりの方法を教授したつもりです。最近は PowerShell を使われる方も多いと思いますが、僕はどうしても PowerShell が好きになれず、未だにコマンドプロンプトで生き続けています。
あれから4年
記事の反響は結構大きく、いろいろなコメントも頂きました。あれから幾らかこのハック方法をアップデートしてきたので、この記事で紹介したいと思います。前の記事では、こんな事を言っていました。
コマンドインから groovy を使った開発を行いたい場合は、まずこのバッチファイル(groovyenv.bat という名前にしています)を実行します。
この方法も確かに良いのですが、使いたい時に xxxenv.bat
を起動する手間は意外と大きかったりもするのです。またバッチファイルを作るのも手間でした。でも PATH 環境変数の長さにも限界があるし、毎回毎回 xxxenv.bat
を作るのが面倒臭い。
分かります。そこで思いついたのが以下の新しい方法です。
マクロを使え
新しい方法といっても、基本は前の方法と変わりません。レジストリエディタを起動し、以下のキーに AutoRun
という文字列値を作ります。
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Command Processor
文字列値の中身には以下を設定します。
%USERPROFILE%\init.cmd
こうするとコマンドプロンプトが起動する度に %USERPROFILE%\init.cmd
が実行されます。init.cmd
の中身は簡単な内容です。
@echo off
doskey /macrofile=%USERPROFILE%\init.macros
if "%CMD_INIT_SCRIPT_LOADED%" neq "" goto :eof
set CMD_INIT_SCRIPT_LOADED=1
set EDITOR=c:/dev/vim/vim.exe
set GIT_EDITOR=c:/msys64/usr/bin/vim.exe
set GRAPHVIZ_DOT=c:/dev/graphviz/bin/dot.exe
set LANG=ja_JP.UTF-8
set GOROOT_BOOTSTRAP=c:\users\mattn\go1.13.5
set CMAKE_GENERATOR=MSYS Makefiles
set GIT_SSH=c:\windows\system32\openssh\ssh.exe
cls
冒頭で init.macros
を doskey
で読み込んでいる点を見て下さい。doskey コマンドにはエイリアス機能があるのですが、これを使って特定のコマンドをフルパスで参照しようというハックです。例えば僕の init.macros
は以下の通り。
ls=ls --color=auto --show-control-chars -N $*
licecap="C:\Program Files (x86)\LICEcap\licecap.exe" $*
gimp="C:\Program Files\GIMP 2\bin\gimp-2.10.exe" $*
vlc="C:\Program Files\VideoLAN\vlc\vlc.exe" $*
code="C:\Users\mattn\AppData\Local\Programs\Microsoft VS Code\bin\code.cmd" $*
ag=ag --nocolor $*
ssh=c:\msys64\usr\bin\ssh.exe $*
find=c:\msys64\usr\bin\find.exe $*
vi=vim $*
mv=mv -i $*
cp=cp -i $*
rm=rm -i $*
grep=grep --color=auto $*
java="c:\Program Files\Java\jdk-13\bin\java" $*
julia=c:\users\mattn\AppData\Local\Julia-1.3.1\bin\julia $*
conda=c:\users\mattn\Miniconda3\Library\bin\conda.bat $*
vcvars64="C:\Program Files (x86)\Microsoft Visual Studio\2019\Community\VC\Auxiliary\Build\vcvars64.bat"
choco=C:\ProgramData\chocolatey\bin\choco.exe $*
vagrant=c:\dev\vagrant\bin\vagrant.exe $*
docker="C:\Program Files\Docker\Docker\resources\bin\docker.exe" $*
docker-compose="C:\Program Files\Docker\Docker\resources\bin\docker-compose.exe" $*
tinygo=c:\dev\tools\tinygo\bin\tinygo.exe $*
短い名前をフルパスで登録する事で PATH 環境変数を弄る事無く、コマンドを直接実行できる様になるという訳です。
これらのコマンドそれぞれに PATH を通すのは面倒ですし、xxxenv.bat
を作るのは面倒ですよね。この面倒さから開放されたのです。メンテするのは init.macros
だけなのですから、随分と楽になりました。
注意点
この方法が使えるのは、あくまでインタラクティブシェルの中だけです。コマンドプロンプトから docker
コマンドは使える様になりましたが、そのコマンドプロンプトから起動するバッチファイルの中で docker を実行してもパスが通っていないのでエラーになります。ただ、それはそのバッチファイルがちゃんとフルパスで起動するか、バッチファイルの中で PATH を通しさえすれば解決する話です。
実はこの方法は既に 2017 年の時点で思いついていて、ずっとこの環境で実践してきましたが特に問題は起きていません。
Windows のコマンドプロンプトで生きておられる方にオススメしたいハックです。